KARTELL（カルテル）は1949年、イタリア・ロンバルディア州にて設立しました。設立者のGiulio Castelli（ジュリオ・カステッリ）は、化学分野でノーベル賞の受賞暦もあるエンジニアです。当初は車のアクセサリを中心に手がけていましたが、後に家具やランプといったアイテムの生産にシフトしていきました。

化学者Giulio Castelli（ジュリオ・カステッリ）がモノ作りという活動を通して目指したのは、“プラスチック製品の普及”と“プラスチックをガラスに替わる素材として一般に認識させること”でした。“化学者によるモノ作り”という試みは当初、試行錯誤の連続でしたが、イタリアンデザインが世界的に注目され始めた1960年代からは徐々に軌道に乗り始め、KARTELL（カルテル）の名は当時としては数少ないプラスチック家具ブランドとして知られるようになりました。

こうしたKARTELL（カルテル）の成功は、同社で数々のデザインを手がけてきた世界的な著名デザイナーの尽力なくしては語ることが出来ません。とりわけ、Antonio Citterio（アントニオ・チッテリオ）やMarco Zanuso（マルコ・ザゾーソ）といった巨匠との協働は、KARTELL（カルテル）の名を一躍有名にする契機ともなりました。プラスチックの魅力を活かした美しいKARTELL（カルテル）デザインは、1972年にMoMA（ニューヨーク近代美術館）で開催されたイタリアデザインの展示会「Italy:The New Domestic Landscape」に出展され、その中のいくつかは同美術館のパーマネントコレクションに選定されるほどの名作でした。その後も、コンパッソ･ドーロ賞など数多くのデザイン賞を受賞するなど、世界的に高く評価されています。

プラスチックならではの特性を見事に活かしたKARTELL（カルテル）の家具は、複雑なシルエットや絶妙なライン使いといった、木材では表現し得ない高度なデザイン性を実現しています。さらに、軽量かつ優れた耐久性を誇るという点においても、家具としては非常に魅力的です。とりわけ、同ブランドの定番アイテムとして人気のマルチチェスト『Componibili（コンポニビリ）』は、ころっとした丸いシルエットが可愛らしいデザインです。本作品はいたってシンプルな構造ではありますが、KARTELL（カルテル）のベストセラーアイテムとして長きに渡り愛され続け、MoMAのパーマネントコレクションにも選定されています。

また、柔らかな丸みのあるフォルムがエレガントな雰囲気を演出する『Classical Chair（クラシカルチェア）』は、KARTELL（カルテル）創立当初から変わらぬ人気を誇ります。その他、プラスチックだからこそ実現した独特の曲線使いが美しい『FPE（Fantastic Plastic Elastic/ファンタスティック・プラスチック・エラスティック)』も、KARTELL（カルテル）家具ならではの魅力を感じさせるアイテムです。

プラスチックは、「成型や着色といった加工がしやすい」、「軽量で持ち運びがしやすい」、「優れた強度や耐候性を誇る」等において、デザイン家具の製造においては特に理想的な素材のひとつです。プラスチックだからこそ実現する繊細なライン使いや絶妙なフォルム、美しい色彩、優れた耐久性・・・。これらの魅力を世界に向けて発信したブランドこそ、KARTELL（カルテル）なのであるといえます。